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業務・管理工程の大幅な圧縮
単純作業から脱却し、利益を生む調達業務へ
ウシオ電機

「物流倉庫に空きスペースをつくる」というミッションと、「調達に多大な手間がかかっている」という課題。M.O.S(Mimasa Outsourcing Service)の導入によって双方を解決したのが、光源や光学装置などを手掛ける光のメーカー大手のウシオ電機だ。導入の効果は当面の課題解決に留まらず、同社の体質改善への動きにも大きく貢献し、イノベーティブなマインドの醸成に弾みをつけた。

課題は、スペース確保と調達業務の効率化

製造業の人間なら、ウシオ電機(本社・東京都千代田区)を知らない人はいないだろう。1964年の創業当時から、光をエネルギーとして活用する技術を次々に開発し、日本のものづくりを支えてきた光製品のトップメーカーだ。

ウシオ電機が三雅産業と出会ったのは、2015年春のこと。当時、同社の装置事業の拠点である御殿場事業所は、2つの大きな課題を抱えていた。「まず、グループ会社であるウシオオプトセミコンダクターが、長野県小諸市にあった生産・販売拠点を引き払い、この御殿場に移ることになったため、物流倉庫を整理してスペースを空ける必要が生じたのです」。システムソリューション事業部 生産管理部門 生産管理部 生産管理課課長の内山隆博氏が説明してくれる。

「もう1つの課題は、システムソリューション事業部の部材調達にかかる手間でした。弊社の装置には1台につき電源が1台以上つきます。その電源を作るには小さい電子部品が何百種類と必要です。そのほとんどを、弊社が自ら調達して物流倉庫で保管、注文が入るたびに1つ1つ部品を集め協力会社に組み立ててもらうために送り出す。この作業に非常に手間がかかっていました」

システムソリューション事業部 生産管理部門 生産管理部 生産管理課課長
内山 隆博 氏

部材の調達先だけでも、実に100社以上に上るという。その膨大な種類の部材調達から協力企業に出すまでの日々の作業や、半期に1度、部材の入出庫を一切止め、4日かけて1点1点部材を数える棚卸しなどに多くの時間を費やしていた。グループ会社をいくつも持ち、取引企業も多い大手製造企業ならではの課題だろう。

これらの解決を図るため内山氏らが託したのが、三雅産業の「M.O.S(Mimasa Outsourcing Service)」だった。

抜群のQCD。伝票30%削減

アウトソーシングサービスを提供する企業が数ある中で、M.O.Sを選んだ理由を内山氏はこう語る。「静電気対策など電子部品の取り扱いに慣れている点や、QCD、つまりクオリティ、コスト、デリバリー、どれをとっても最適で非常にバランスに優れていました。このうちコストに関しては、従来、調達・配膳に関わっていた3人分の人件費と同等でしたが、M.O.Sにはそれ以上の効果を見込めると分かったのです」。

内山氏らは、三雅産業とM.O.Sの導入に向けて打ち合わせを重ねる一方で、経営陣にM.O.Sの有用性を説いて回った。調達先企業に関しては、すべての企業を集めて説明会を開き、取引窓口が三雅産業になることを伝えた。おかげで移管はスムーズだったという。

三雅産業への委託範囲は、露光装置の電源に関わる部材の、調達から協力会社への払い出しと、基板実装の外注管理、そこから出てきた組み立て部品の受け入れ、管理。部材などはすべて三雅産業の倉庫で在庫する。15年11月のスタート時点では、ウシオオプトセミコンダクターのために、1フロア分の倉庫と配膳するためのスペースを空けることができた。稼働してみると、QCDについても申し分なく、「想定を上回る効果が数多くありました」と、内山氏は話す。

例えば、部材の組立工場への運送も三雅産業が行うので運送費を削減できたり、負担が大きかった半期に1度の棚卸からも解放されたりした。なかでも内山氏らが重宝だと感じているのが、三雅産業の調達力の高さだという。

「一般の商社では調達できないような、希少価値の高い部材を探し出してくれたり、他社では納期に間に合いそうにないものも間に合わせてくれたりと、助かっています。おかげで急な大量発注が生じたときにも、無事に納品することができました」。収益改善に加え、多くの副次的効果をM.O.Sが着実にもたらしているようだ。

とはいえ、何より大きいのが、やはり調達の「手間の削減」だという。

「もともと100社以上と取引していたのが、三雅産業さん1社とだけお付き合いすれば済むようになりました。これまで出していた伝票を数えてみたところ、月に数千枚もありました。これは事業部が発行する伝票の約30%に相当します。これが三雅産業さんへの注文書だけ、わずか数枚になったのです」

コストはそのままだが、工数の削減を考えると、非常に高い費用対効果を得ることができたと話す。

BOM表の刷新

もう1つ、大きな副次的な効果があったようだ。

三雅産業に業務を委託するにあたって、発注に必要な部品表、いわゆるBOM表を整理することになったのだ。BOM表には100機種以上の製品に関して、1製品ごとに必要な部品の種類と個数が記載されている。

「30年前からつくっている製品もあるので、途中で部品が変更されたものもあります。古い製品と新しい製品では記載形式もばらばら、このまま三雅産業さんにお願いしたら、混乱を招くことは必至でした」。これまでは社員同士、「阿吽の呼吸」で成り立っていたというが、今後は誰が見ても確実に指示通りの部品が用意されるBOM表に修正されなくてはならない。この作業に、ウシオ電機の社員が半年間をかけたという。

「今はきれいになりました。これにより、例えばある部品が生産中止になったとしても、代替部品に置き換えるとか大量に買い込むといったことが、スムーズにできるようになりました」

投影露光装置「UX-4シリーズ」

コア業務に専念。一段階上の調達へ

ウシオ電機は、昨年度から事業体質の改善に取り組んでいるという。詳細は同社のWEBサイトに譲るが、「現場では、作業はできるだけアウトソーシングして、自分たちにしかできない仕事に注力しようといった方針が打ち出されていました。<作業>ではなく<仕事>をしよう、と。また自社の調達業務をとっても、納期と価格と数量を提示するだけの<守りの調達>ではなく、より効率的、低価格な方法を提案していくことを宣言しています」。

三雅産業のM.O.S導入は、まさにこの体質改善に合致するものだった。M.O.Sにより、調達管理に割いていた労力を、よりコアな業務に充てることが可能になり、また刷新されたBOM表と三雅産業の調達力をもとに、より良いものを安く購入していく体制も整った。

体質改善の成果は徐々に表れ、ウシオ電機は今年度に入って装置事業を中心に業績を伸ばしている。「今は部材だけですが、いずれは完成品の在庫や出荷など、委託範囲をもう少し広げたいと考えています」。M.O.Sを武器の1つとし、ウシオ電機の成長は続きそうだ。

<M.O.S 担当者から>

M.O.Sの導入を決定していただいてから3カ月間ほどで、ウシオ電機様の商品情報・価格情報・BOM表の取り込みに奔走しました。基板の外注管理は、在庫の基板や都度製作する基板、在庫基板の改造など、管理する種類も非常に多彩で、かつ2次加工品なども扱うので、複雑な管理を要しました。もちろん、生産ラインは止めないままのアウトソーシング移行、仕組みづくりですので、その点は特に注意しました。調達業務の最適化のほか、M.O.Sを通じて、引き続きウシオ電機様の事業成長に貢献していきたいと考えています。

神奈川支店 八巻陽介

  • :掲載情報(企業情報・部門名・お役職名などを含む)は、初版制作時のものです。

ウシオ電機株式会社
http://www.ushio.co.jp/jp/

ウシオ電機 御殿場事業所

本社所在地:
〒100-8150
東京都千代田区丸の内1-6-5
設立:1964年(昭和39年) 3月
資本金:19,556,326,316円
事業内容:光応用製品事業ならびに産業機械およびその他事業